野村選手が3連続2位表彰台を獲得
マスタークラスは清水選手が3戦全勝を飾る
B-Max Racing Team(チーム総代表・SFLチーム代表 組田龍司)は、3月8〜9日、鈴鹿サーキットで行われた全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第1~3戦に参戦し、野村勇斗選手が3戦すべてで2位表彰台を獲得、ケイレン・フレデリック選手も3位表彰台を得るなど、まずまずのシーズンスタートを切りました。
マスタークラスは、昨シーズン後半から速さを見せている清水康弘選手が、3戦全勝を飾りました。
■第1、2戦予選(3月8日(土)午前8時30分~9時)
早朝の気温が上がらないコンディションのなか行われた予選は、木、金曜日の練習走行では好調とは言い難かった野村選手が気を吐き、1分51秒台前半のタイムをマーク。1000分の3秒という超僅差で惜しくもポールポジションは逃しましたが、第1戦で2番グリッドを獲得。10分のインターバル後に行われた第2戦もチーム最上位の4位を得ました。
練習走行で好調だったフレデリック選手は、両レースとも5位と伸び悩み、鈴鹿初体験のザック・デビッド選手は、第1戦は惜しくも走路外走行の判定を受けましたが、第2戦で6位と健闘しました。卜部和久選手は10位と8位、負傷欠場となったマスタークラスの今田信宏選手に代わって出場の森山冬星選手も6位、11位と、悔しさは残るものの、ルーキーたちは、初のSFライツの予選をアクシデントなく走り切りました。
ドライバー | Rd1予選タイム(順位) | Rd2予選タイム(順位) | Point(累計) | |
1号車 | 卜部 和久 | 1分53秒937(10) | 1分51秒596( 8) | 0(0) |
4号車 | 森山 冬星 | 1分52秒779( 6) | 1分52秒842(11) | 0(0) |
50号車 | 野村 勇斗 | 1分51秒233( 2) | 1分50秒796( 4) | 0(0) |
51号車 | Z.デビッド | 1分53秒268( 9) | 1分51秒186( 6) | 0(0) |
58号車 | K.フレデリック | 1分52秒120( 5) | 1分51秒138( 5) | 0(0) |
- 天候:曇り、コース:ドライ、気温:7度、路面温度:8度
■第1戦決勝(3月8日(土)午後0時30分~16周)
スタートで、3番グリッドの小林選手に並びかけられた野村選手は、2位のポジションを守って1周目を終えると、早くも2周目の1コーナーで、佐野選手のアウトから仕掛けてトップを奪いました。ところが、スタートで少し動いてしまったことで、フライングの判定を受け、プラス5秒のペナルティを課されてしまいました。何とか2位を5秒以上引き離したい野村選手でしたが、その差を2.8秒まで広げたところで、チェッカーとなり、デビューレースは惜しくも2位となりました。
1周目に5位まで順位を上げたデビッド選手は、12周目の130Rで前車をアウトからパスするなど果敢に攻め、大健闘の4位フィニッシュを果たしました。1周目に順位を上げた卜部選手と逆に順位を落とした森山選手は、後半6位争いを展開し、6、7位。フレデリック選手はスタートでエンジンストールをしてしまい、9位でフィニッシュしました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
1号車 | 卜部 和久 | 6位 | 1分54秒293(10/13) | 1( 1) |
4号車 | 森山 冬星 | 7位 | 1分54秒049( 9/13) | 0( 0) |
50号車 | 野村 勇斗 | 2位 | 1分52秒993( 1/13) | 7( 7) |
51号車 | Z.デビッド | 4位 | 1分53秒811( 7/13) | 3( 3) |
58号車 | K.フレデリック | 9位 | 1分53秒558( 4/13) | 0( 0) |
- 天候:曇り、コース:ドライ、気温:11度、路面温度:20度
■第2戦決勝(3月9日(日)午前8時20分~12周)
スタートで上位陣に順位変動はなく、グリッド順で1周目を終えました。5番グリッドのフレデリック選手は、ニュータイヤを投入し、前半でポジションを上げようと試みました。しかし、2位の小林選手が2周目のシケインでトラブルから車両を止め、セーフティカー(SC)ランとなったことで、フレデリック選手の思惑どおりにはいきませんでした。
5周目のリスタート前のシケインで、2位の荒尾選手がコースオフ。これで野村、フレデリック選手は2位、3位にポジションアップ。終盤にもSCランがあり、最後はラスト1周の勝負になりましたが、順位変動はなくフィニッシュを迎えました。
卜部選手は5位で連続入賞、スタートでエンジンストールをしてしまったデビッド選手は8位、森山選手はシケインで他車との接触を避けて走路外に出たことで、プラス5秒加算のペナルティを課され10位という結果でした。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
1号車 | 卜部 和久 | 5位 | 1分53秒028( 6/13) | 2( 3) |
4号車 | 森山 冬星 | 10位 | 1分53秒540( 8/13) | 0( 0) |
50号車 | 野村 勇斗 | 2位 | 1分52秒413( 2/13) | 7(14) |
51号車 | Z.デビッド | 8位 | 1分53秒639( 9/13) | 0( 3) |
58号車 | K.フレデリック | 3位 | 1分52秒701( 3/13) | 5( 5) |
- 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:10度、路面温度:12度
■第3戦決勝(3月9日(日)午後0時50分~12周)
2番グリッドの野村選手は、スタートでトップに出ることは叶いませんでしたが、好スタートでトップに立った小林選手に次いで2位をキープ。ところが、ペースが思うように上がらず、3周目のシケインで佐野選手に一瞬の隙をつかれて先行されてしまいました。
7周目にトップの小林選手がデグナーカーブでコースオフをしたことで、野村選手は2位にポジションを上げ、そのままフィニッシュ。これで野村選手は3戦連続2位と、デビュー大会で安定した速さを見せました。
4番手スタートのデビッド選手は、終盤3位の小林選手に迫りましたが、表彰台には僅かに届かず4位。フレデリック選手は、9番グリッドからアグレッシブな走りで着実に順位を上げ5位。森山選手は8位、スタートでエンジンストールしてしまった卜部選手は10位でレースを終えました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
1号車 | 卜部 和久 | 10位 | 1分52秒564( 1/13) | 0( 3) |
4号車 | 森山 冬星 | 8位 | 1分53秒597( 8/13) | 0( 0) |
50号車 | 野村 勇斗 | 2位 | 1分52秒941( 4/13) | 7(21) |
51号車 | Z.デビッド | 4位 | 1分53秒087( 5/13) | 3( 6) |
58号車 | K.フレデリック | 5位 | 1分53秒413( 6/13) | 2( 7) |
- 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:15度、路面温度:22度
■1号車ドライバー 卜部和久選手コメント
「やり切れなかったという気持ちが強いです。昨年末の鈴鹿のテストでは2番手でしたし、もてぎでのテストもフィーリングはいまひとつでしたがタイムは出ていたので、今週末は表彰台争い、優勝争いをする気持ちで臨みました。それだけに、入賞がやっとという状況は悔しいですね。今回、少し不足していると感じたフィジカルの強化と、レースウィークの組み立て方を整理するなど、最大限の準備をして、次のオートポリス大会に臨みたいと思います」
■4号車ドライバー 森山冬星選手コメント
「最初はSFライツを上手く乗りこなすことができずに、他の選手とデータを比較してもかなり差がありました。正直どう詰めていこうか迷いましたが、走行を重ねるたびに、タイムは良いレベルまできました。ただ、エアロに対する理解が十分ではないので、競り合いになったときに、どう仕掛けて良いのかが掴みきれませんでした。この点は、勉強と経験が必要だと感じました。結果を残すことができず凄く悔しいですが、これをバネに努力し続けて、次のチャンスでは必ず結果を残します」
■50号車ドライバー 野村勇斗選手コメント
「練習走行の結果を考えると、良い結果といえるかもしれませんが、優勝のチャンスは3レースともにあったと思いますし、特に第1戦は自分のミスで落としてしまったので、悔しさは残ります。ただ、SFライツの車両にも随分慣れてきましたし、あとは予選でピークグリップをどう引き出すか、レースペースを高いレベルでどう維持するかという課題をクリアしながら、さらに速さに磨きをかけていきたいと思います。今回は3戦とも佐野選手に負けてしまったので、オートポリスでは最初から思いきり攻め、必ずリベンジしたいと思います」
■50号車監督 武藤英紀コメント 「3レースとも2位という結果は、デビューラウンドとしては上出来だと思います。ただ、2位が続くと悔しさが蓄積されると思いますので、その悔しさを晴らそうとする気持ちをパワーにして、次に向けて士気を高めてほしいと思います。ここからどう巻き返すのか、非常に楽しみです」 |
■51号車ドライバー ザック・デビッド選手コメント
「SFライツでの最初の週末は、かなり良いペースを見せることができましたし、悪くなかったと思います。取り組むべき改善点も見つけることができました。まずは、予選の順位を上げることですね。それによって、自分の持つポテンシャルを最大限に発揮でき、小さなミスも減らすことができるはずです。次のオートポリスも初体験のコースですが、クルマのベースセッティングは良いので、今回見つけた課題に取り組むことによって、より良い結果を残すことができると確信しています」
■58号車ドライバー ケイレン・フレデリック選手コメント
「週末を通してペースは悪くありませんでした。ただ、予選でタイヤ温度に問題があって、それを解消できなかったために、本来のグリッドよりも後方からスタートすることになってしまいました。決勝のペースは良く、何度かオーバーテイクもすることができただけに、予選が悔やまれます。予選のパフォーマンスを向上させることができれば、次はもっと上位でフィニッシュすることができると思います」
マスタークラス |
■第1、2戦予選
今大会は、今田選手が負傷欠場となったため、清水選手とDRAGON選手の一騎討ちとなりました。昨シーズンから、速さに磨きのかかる清水選手は、得意とする鈴鹿で、第1戦、第2戦ともにDRAGON選手を上回る速さを見せクラスポールを獲得しました。
DRAGON選手は、一発の速さで勝る清水選手に対抗するため、ニュータイヤを温存し、決勝で巻き返す作戦を取りました。ただ、第2戦の予選において、今シーズンから追加されたタイヤ使用の規定(各々の公式予選で使用できるタイヤは最大1セット)に抵触してしまい、全タイム抹消と、決勝結果にプラス30秒というペナルティを課せられてしまいました。この想定外の事態に、決勝に向けて再度作戦を練り直すことになりました。
ドライバー | Rd1予選タイム(順位) | Rd2予選タイム(順位) | Point(累計) | |
8号車 | 清水康弘 | 1分54秒391(M1) | 1分53秒440(M1) | 1+1( 2) |
30号車 | DRAGON | 1分55秒120(M2) | No Time ( – ) | 0( 0) |
■第1戦決勝(16周)
スタートで清水選手が先行し、DRAGON選手が追う形となりましたが、DRAGON選手はシリーズタイトルを見据えて、次の大会にニュータイヤを持ち越す作戦に変更したため、このレースはユーズドタイヤで出走。きっちり2位で終えることだけを目標に走り、レースは、清水選手が大差をつけてクラス優勝を飾りました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
8号車 | 清水康弘 | M1位(総合12位) | 1分56秒037(M1) | 10(12) |
30号車 | DRAGON | M2位(総合13位) | 1分56秒905(M2) | 7( 7) |
■第2戦決勝(12周)
1周目にエンジンストールで遅れた車両が、清水選手とDRAGON選手の間に入り、両者の差が少し開きますが、すぐにSCランとなって両者の差はなくなり、5周目のリスタートでは清水選手の背後にDRAGON選手がつける形になりました。
ここからはほぼ同じペースで1秒差を保ったまま周回を重ねますが、8周目のスプーンカーブで、「つい熱くなってミスをしてしまった」というDRAGON選手がコントロールを失いスピン。グラベルに捕まってしまいました。追ってくる敵のいなくなった清水選手は、残り周回をきっちり走って連勝のチェッカーを受けました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
8号車 | 清水康弘 | M1位(総合9位) | 1分55秒117(M1) | 10(22) |
30号車 | DRAGON | DNF | 1分55秒188(M2) | 0( 7) |
■第3戦決勝(12周)
3レース目となって尻上がりに調子を上げる清水選手は、総合を争う若手にも劣らない速さを見せ、終盤には1分54秒台のベストラップを叩き出して、悠々3連勝。念願のチャンピオンに向け最高の開幕大会となりました。
一方、ニュータイヤ温存作戦のDRAGON選手は、このレースでも走り込んだユーズドタイヤを選択し、完走することだけを考えて周回を重ねました。終盤にはタイヤの摩耗からかなりペースを落とさざるを得ない状況でしたが、なんとか完走を果たしました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
8号車 | 清水康弘 | M1位(総合12位) | 1分54秒596(M1) | 10(32) |
30号車 | DRAGON | M2位(総合13位) | 1分56秒221(M2) | 7(14) |
■8号車ドライバー 清水康弘選手コメント
「今大会のマスタークラスは、前年度チャンピオンのDRAGON選手との一騎討ちになりました。しかし、金曜日の大事な最終盤に自分の不注意からS字でクラッシュをしてしまいました。メカニック達のサポートにも支えられて、そこから予選と決勝すべてでフルポイントを獲得できたことで、最高のシーズンスタートになりました。昨年から課題のスタートも改善傾向ですし、若手ドライバーの背中が遠くに少しずつ見えてきた感覚が持てました。ただ、まだシーズンは始まったばかり。今田選手との三つ巴になっても勝ち切れるように、気を抜かずに次戦以降も着実に結果を積み上げていきたいです」
■30号車ドライバー DRAGON選手コメント
「今週はまったく良いところがなく終わってしまいました。ペナルティなどもありましたので、シリーズを考え、ニュータイヤを温存して、着実にポイントを稼ぐことにしました。と言いつつ、第2戦はミスでノーポイントに終わってしまったのは痛かったですね。第3戦はかなり距離を走ったタイヤを使いましたので、途中から本当に厳しい状態でした。でも、第2戦のリタイヤがありましたので、次に繋げようと意地で完走しました。次のオートポリスは必ず巻き返します」