小出選手が念願のチャンピオンに輝く
マスタークラスはDRAGON選手が4年ぶりのタイトル奪取
B-Max Racing Team(チーム総代表・SFLチーム代表 組田龍司)は、11月30日〜12月1日、モビリティリゾートもてぎで行われた全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第1~3戦(延期分)に参戦し、小出峻選手が第1戦の優勝でチャンピオンを決め、シーズン最終レースとなる第3戦も制して有終の美を飾りました。
マスタークラスは、今田信宏選手の欠場によりチャンピオンを決めたDRAGON選手が、3戦全勝でシーズンを締めくくりました。
車両のアップデートパーツの不具合で延期となり、最終大会として開催されることになった今大会は、小出選手のチャンピオン獲得がかかる重要な大会でした。このため、欠場したマスタークラスの今田、藤原誠両選手の車両に、菅原冬悟、荒川麟選手を起用して万全の態勢を整え、チームとして総力戦で臨みました。
■第1、2戦予選(11月30日(土)午前9時55分~10時25分)
好天に恵まれた予選は、練習走行から好調の小出選手が主導権を握る形で進みました。10分のインターバルで行われた第1戦、第2戦の予選ともに、小出選手は3周のウォームアップからアタックに入り、第1戦では2位に0.07秒という僅差で、ウィングをアジャストして臨んだ第2戦では0.6秒という大差で、連続ポールポジションを獲得しました。
荒川選手は連続3位、ケイレン・フレデリックと菅波選手は、順位を入れ替えて5位、6位を獲得。全員が上位グリッドを得ることに成功しました。
ドライバー | Rd1予選タイム(順位) | Rd2予選タイム(順位) | Point(累計) | |
1号車 | K.フレデリック | 1分43秒590( 6) | 1分43秒454( 5) | 0(42) |
4号車 | 菅波冬悟 | 1分43秒561( 5) | 1分43秒464( 6) | 0( 0) |
13号車 | 荒川 麟 | 1分43秒346( 3) | 1分43秒263( 3) | 0(35) |
50号車 | 小出 峻 | 1分42秒779( 1) | 1分42秒613( 1) | 1+1(87) |
- 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:13度、路面温度:17度
■第1戦決勝(11月30日(土)午後1時25分~20周)
小出選手とタイトルを争う野中選手が、不運なトラブルでグリッドにつけず、小出選手はこのレースで優勝すれば、チャンピオン決定となる重要な1戦となりました。
スタートを決めた小出選手は、後続を従えて1、2コーナーをクリア。タイトル決定のゴールに向けてプッシュしつつも、慎重に周回を重ねました。スタートから、2位の小林選手が1秒以内の差で背後につけてチャンスを窺っていましたが、小出選手は動じることなく20周のレースを走り切って今季7勝目。見事、念願のチャンピオンを手中に収めました。
チェッカー後、「チームからの無線で感極まった」という小出選手は、クルマを降りると、溢れる涙を拭うこともせずに、立ち上がって雄叫びをあげました。今季、安定した速さを見せる荒川選手も3位表彰台に上りました。フレデリック選手は6位、菅波選手は1周目の混乱で順位を落とし9位でフィニッシュしました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
1号車 | K.フレデリック | 6位 | 1分45秒914( 7/13) | 1(43) |
4号車 | 菅波冬悟 | 9位 | 1分45秒985( 8/13) | 0( 0) |
13号車 | 荒川 麟 | 3位 | 1分45秒257( 3/13) | 5(40) |
50号車 | 小出 峻 | 1位 | 1分44秒826( 2/13) | 10(97) |
- 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:16度、路面温度:23度
■第2戦決勝(12月1日(日)午前9時20分~14周)
スタートでやや出遅れた小出選手は、S字で小林選手に並ばれると無理に抑えることはせず、2位で1周目を終えました。2周目以降も、小出選手はトップとの差を約1秒に保ちながらプレッシャーを掛け続けました。背後には中村選手が迫っていたため、仕掛けることはせずに周回を重ねましたが、逆転のチャンスは訪れずに2位でチェッカーを受けました。
フレデリック選手はトップ3にはやや離されましたが4位。荒川選手も6位に入り、ポイントを積み重ねました。菅波選手は1周目を5位で終えたものの、2周目に他車に押し出されて大きく順位を落としてしまい9位でレースを終えました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
1号車 | K.フレデリック | 4位 | 1分45秒228( 6/13) | 3( 46) |
4号車 | 菅波冬悟 | 9位 | 1分45秒160( 4/13) | 0( 0) |
13号車 | 荒川 麟 | 6位 | 1分45秒388( 7/13) | 1( 41) |
50号車 | 小出 峻 | 2位 | 1分44秒721( 3/13) | 7(104) |
- 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:9度、路面温度:13度
■第3戦決勝(12月1日(日)午後1時25分~14周)
好スタートでトップの座を守った小出選手は、有終の美を飾るべく、2位との差を僅かずつ開きながら、プッシュし続けました。
4周目、最終ビクトリーコーナーで、他車と競り合っていたフレデリック選手がアウト側縁石に乗り、コントロールを失ってスピン。ストレートのコースサイドにストップしてしまい、セーフティカーが導入されました。
これにより、トップ小出選手のマージンは消えてしまいましたが、このような事態も想定していた小出選手は、9周目のリスタートを冷静に決めると、再び後続との差を広げていき、最後は2秒のマージンを持ってフィニッシュ。チャンピオン獲得に華を添える今季8勝目を飾りました。3番グリッドスタートの荒川選手は、1周目に1つポジションを落としてしまい、終盤はペースが上がらずに4位フィニッシュ。菅波選手は8位でした。
今シーズンの小出選手は18戦8勝。終わってみれば、鈴鹿を除くすべての大会で勝利を挙げるという安定したリザルトを残しました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | Rank | |
1号車 | K.フレデリック | DNF | 1分45秒675( 8/13) | 0( 46) | 5 |
4号車 | 菅波冬悟 | 8位 | 1分45秒840( 9/13) | 0( 0) | – |
13号車 | 荒川 麟 | 4位 | 1分45秒418( 6/13) | 3( 44) | 6 |
50号車 | 小出 峻 | 1位 | 1分44秒996( 1/13) | 10(114) | 1 |
- 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:17度、路面温度:24度
今大会で2024シーズンを終え、ドライバーズタイトルは2年連続で獲得することができました。しかし、チームタイトルは逃すことになり、昨年に続く2冠はなりませんでした。
来シーズンは、ドライバーズタイトルの防衛はもちろんのこと、チームタイトルの奪還に向け、シーズンオフの間に態勢づくりを進めます。
■1号車ドライバー ケイレン・フレデリック選手コメント
予選のペースはあまり良いとはいえませんでした。第1、第2レースは中団の順位に留まってしまいましたが、いくつかポジションを上げ、何度かバトルを繰り広げることができました。レース3では最終コーナーでアクシデントに遭ってしまいました。
今シーズンは、ちょっとフラストレーションの溜まることがあった1年でした。優勝や表彰台もあり、スピードがあることは示せたと思いますが、シーズンを通して安定した戦績を残すことができませんでした。
来年の計画はまだ未定ですが、今年の経験を生かして、日本で走ることができれば良いと考えています。
■4号車ドライバー 菅波冬悟選手選手コメント
今年始めてのSFライツのレースでしたが、先週もてぎで開催された86レースで優勝もしていますし、精神的には良い流れで臨むことができました。
正直、持ち込みのセットがあまり良い状態とは言えず、仕上げるのに時間がかかってしまいましたが、与えられた条件のなかでスタッフも僕もベストは尽くせましたし、その作業はとても有意義な時間でした。
昨年の車両との違いや、このクルマでの初めてのスタートに戸惑ったりして、レースは厳しい結果になりましたが、クルマもドライビングも走る度に良くなっていったので、1シーズン通して走ってみたいという気持ちが沸いています。
■13号車ドライバー 荒川 麟選手コメント
木曜日の練習走行は良かったのですが、そこから他のクルマがタイムを上げるなかで、徐々にスピードが足りない状況になっていきました。予選は何とか3位を確保しましたが、レースに関しては3レースともペースがなく、不甲斐ない結果に終わってしまいました。原因がどこにあったのかはきちんと分析しておく必要があると思います。
今シーズンは、結果的に鈴鹿を除く5大会に出場させていただき、表彰台は何度かありましたが、やはり優勝やポールポジションを取りたかったですね。やり残したという思いあります。
■50号車ドライバー 小出 峻選手コメント
チャンピオンを取ることができ、最終レースも優勝で終えることができて、最高の週末でした。第1戦のウィニングラップでは、スタッフから無線でお祝いのコメントをもらって、涙が溢れました。嬉し泣きをしたのは人生で初めてです。嬉しさはもちろんですが、プレッシャーから開放された安堵の気持ちが強かったように思います。
鈴鹿では歯車が噛み合わず、野中選手に追い上げられてしまい、勢いは彼の方にあったように思います。ただ、ここまで来たら、人と比較しても仕方ないので、自分がやれることはすべてやり切ろうと、前向きに考えて臨みました。
来シーズンはまだ未定ですが、SFライツでの経験を生かして、上のカテゴリーでしっかり戦えることを証明できればと思っています。
お世話になったチーム、HRCの方々、応援してくださったすべての方に、感謝を伝えたいです。ありがとうございました。
マスタークラス |
■第1、2戦予選
今大会は、今田、藤原選手が欠場となったため、清水選手とDRAGON選手の一騎討ちとなりました。
前大会でも連続クラスポールを奪い、SFライツ車両の習熟が進みつつある清水選手は、今大会でも速さを見せ、第1戦の予選ではDRAGON選手に対してコンマ3秒の差をつけました。ただ、DRAGON選手は、他車に進路を塞がれる場面もあって満足なアタックができないという状況だったため、真の勝負は第2戦予選に持ち越されました。
第1戦予選の雪辱を晴らすため、気合いを入れて第2戦予選に臨んだDRAGON選手でしたが、タイヤトラブルで振動が出てしまい満足に走ることができず、ノータイムで終わるという不運に見舞われました。一方、清水選手は第1戦の予選からコンマ6秒という大幅なタイムアップを果たし、両レースともにクラスポールを獲得しました。
ドライバー | Rd1予選タイム(順位) | Rd2予選タイム(順位) | Point(累計) | |
8号車 | 清水康弘 | 1分46秒167(M1) | 1分45秒513(M1) | 1+1( 70) |
30号車 | DRAGON | 1分46秒481(M2) | No Time (M2) | 0(122) |
■第1戦決勝(20周)
スタートで清水選手をかわしたDRAGON選手がトップに出て、清水選手との差を開いていきました。しかし、清水選手も必死に食い下がり、5周目に1.6秒あった差を徐々に詰め、折り返しとなる10周終了時には0.6秒差にまで迫りました。
レース後半は、DRAGON選手の背後に清水選手がつけ、残り3周となった17周目からは、コースの随所で、抜きつ抜かれつのバトルを展開しました。最後は経験に勝るDRAGON選手が、老獪なテクニックで抑え込み、今季7勝目のチェッカーを受けました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
8号車 | 清水康弘 | M2位(総合12位) | 1分47秒867(M1) | 7( 77) |
30号車 | DRAGON | M1位(総合11位) | 1分47秒904(M2) | 10(132) |
■第2戦決勝(14周)
第1戦と同じく、1周目に前に出たDRAGON選手が、清水選手を従えて周回を重ねました。清水選手は、1秒以内の差でチャンスを窺いますが、DRAGON選手はコンスタントに1分48秒フラットのラップタイムを刻みながら、隙を見せることなくレースは後半に突入しました。
終盤に、ややペースの鈍ったDRAGON選手を清水選手が攻め立て、最終ラップの90度コーナーでは、アウトから並びかけましたが、前に出ることは叶わず、DRAGON選手が第1戦に続き優勝を飾りました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
8号車 | 清水康弘 | M2位(総合13位) | 1分47秒620(M1) | 7( 84) |
30号車 | DRAGON | M1位(総合12位) | 1分47秒903(M2) | 10(142) |
■第3戦決勝(14周)
今大会で初めてクラスポールの位置からスタートしたDRAGON選手は、このレースにニュータイヤを投入。一矢報いたい清水選手にとっては、厳しい展開が予想されました。
案の定、3周目にはトップDRAGON選手との差は2.5秒と、この週末で最も大きなギャップとなりました。しかし、セーフティカーの導入が形勢を変えることになり、9周目のリスタート後は、ニュータイヤの恩恵が薄れたDRAGON選手の背後に清水選手が迫りました。
チェッカーまで諦めずに攻め続けた清水選手でしたが、最後は0.2秒差でDRAGON選手に軍配が上がりました。DRAGON選手は9勝目。今季の勝率を5割に乗せました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
8号車 | 清水康弘 | M2位(総合12位) | 1分47秒905(M2) | 7( 91) |
30号車 | DRAGON | M1位(総合11位) | 1分47秒428(M1) | 10(152) |
■8号車ドライバー 清水康弘選手コメント
今大会のマスタークラスは、DRAGON選手との一騎討ちでした。走り出しから様々なセット修正が必要な状況でしたが、予選までに何とか形にしてダブルPPを獲得することができました。決勝は課題だったスタートで遅れてしまい、抜きにくいレイアウトのもてぎにおいて終始経験の差を見せつけられ残念ながらオーバーテイクには至りませんでした。
今年は私にとって久しぶりのレース復帰とフォーミュラカー初挑戦の年でしたが、無事にシーズンを終える事ができて良かったです。SFLのマシンは想像以上に速かったですし、ジェントルマンドライバーのレベルも高く、ライバルにも恵まれて大変刺激的な一年でした。
開幕戦から毎戦上り調子で戦ってこられたのも、チームメンバー全員の支えによるもので感謝しかありません。来季以降もシリーズがさらに盛り上がることを期待します。ありがとうございました。
■30号車ドライバー DRAGON選手コメント
予選はトラブルが出たりで清水選手と勝負できませんでしたが、決勝では勝負所のスタートを3回とも成功させて勝つことができました。二人とはいえ、3連勝はなかなかできることではないので、良い週末でしたし、良いシーズンの締め括りでした。
清水選手は、かなり悔しかったと思いますが、その気持を来年のレースにぶつけてくれれば、また面白い勝負ができると思います。迎え撃つ僕たちベテランも、挑まれることでやる気が出ますしね。
来シーズンは、ディフェンディングチャンピオンとして、マスタークラスの若い人たちに負けないよう、さらに精進します。
2024年シリーズポイントランキング |
ドライバー部門
Rank | Driver | Car | Team | Point |
1 | 小出 峻 | HFDP WITH B-MAX RACING | B-MAX RACING TEAM | 114 |
2 | 小林 利徠斗 | モビリティ中京 TOM’S 320 TGR-DC | TOM’S | 86 |
3 | 野中 誠太 | PONOS Racing TOM’S 320 TGR-DC | TOM’S | 77 |
4 | 中村 仁 | モビリティ中京 TOM’S 320 TGR-DC | TOM’S | 71 |
5 | ケイレン・フレデリック | Pilot ONE Racing with B-MAX | B-MAX RACING TEAM | 46 |
6 | 荒川 麟 | B-MAX RACING 324 /TEAM DRAGON 324 | B-MAX RACING TEAM | 44 |
7 | 荒尾 創大 | HFDP WITH TODA RACING | TODA RACING | 43 |
8 | 古谷 悠河 | Deloitte. HTP TOM’S 320 | TOM’S | 34 |
9 | 伊東 黎明 | LMcorsa OTG 320 | LM corsa | 1 |
今田 信宏 | JMS RACING TEAM | JMS RACING TEAM | 0 | |
DRAGON | TEAM DRAGON 324 | TEAM DRAGON | 0 | |
清水 康弘 | GNSY 324 | GNSY RACING | 0 | |
藤原 誠 | TEAM DRAGON 324 | TEAM DRAGON | 0 | |
入山 翔 | IRISアルビレックス-RT | ALBIREX RACING TEAM | 0 | |
菅波 冬悟 | JMS RACING TEAM | JMS RACING TEAM | 0 |
チーム部門
Rank | Team | Point |
1 | TOM’S | 143 |
2 | B-MAX RACING TEAM | 124 |
3 | TODA RACING | 43 |
4 | TEAM DRAGON | 17 |
5 | LM corsa | 1 |
JMS RACING TEAM | 0 | |
GNSY RACING | 0 | |
ALBIREX RACING TEAM | 0 |
ドライバー部門(マスタークラス)
Rank | Driver | Car | Team | Point |
1 | DRAGON | TEAM DRAGON 324 | TEAM DRAGON | 152 |
2 | 今田 信宏 | JMS RACING TEAM | JMS RACING TEAM | 99 |
3 | 清水 康弘 | GNSY 324 | GNSY RACING | 91 |
4 | 藤原 誠 | TEAM DRAGON 324 | TEAM DRAGON | 68 |