苦しんだ週末を乗り切った小出選手、タイトルは最終大会決着へ
マスタークラスは清水選手が初優勝、今田選手が連勝を飾る
B-Max Racing Team(チーム総代表・SFLチーム代表 組田龍司)は、11月9〜10日、鈴鹿サーキットで行われた全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第16~18戦に参戦しました。
タイトル決定のかかっていた小出峻選手、初の鈴鹿に挑んだケイレン・フレデリック選手は、ともに歯車が噛み合わず、ライバルに先行を許す結果になりました。小出選手は、シリーズポイントでも、9ポイント差にまで詰め寄られることになり、タイトルの決着は最終大会に持ち越されることになりました。
マスタークラスは、清水康弘選手が連続ポールを奪い、第16戦で初優勝を飾りました。残る2レースは、経験に勝る今田信宏選手が制しました。
■第16、17戦予選11月9日(土)午前8時15分~8時45分)
秋晴れとはいえ、早朝の肌寒いなか行われた予選は、ライバル勢に水を開けられ、苦しい展開になりました。第16戦では小出選手がトップから0.3秒遅れの4位、フレデリック選手は初の鈴鹿ということを差し引いても、本来の力を発揮しているとは言い難い6位。
第17戦では、小出選手は巻き返して僅差の2位を奪いましたが、フレデリック選手はセットが上手く決まらないまま、トップから0.5秒遅れの7位と、チームにとって不本意な予選となってしまいました。
ドライバー | Rd13予選タイム(順位) | Rd14予選タイム(順位) | Point(累計) | |
1号車 | K.フレデリック | 1分52秒112( 6) | 1分51秒554( 7) | 0(40) |
50号車 | 小出 峻 | 1分51秒641( 4) | 1分51秒029( 2) | 0(81) |
- 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:15度、路面温度:16度
■第16戦決勝(11月9日(土)午後0時35分~17周)
この第16戦の結果で、第18戦のグリッドが決まるだけに、スタートで前に出たいところでしたが、小出選手はスタートの加速で遅れ、フレデリック選手が5位、小出選手が6位でオープニングラップを終えました。
タイトルを争う野中選手が、ポールスタートから首位を守ったため、小出選手は1つでも順位を上げたいところでしたが、ペースが上がらず、6位キープのままレースは進みました。
終始、フレデリック選手の背後につけ、チャンスを窺った小出選手でしたが、リスクを犯してチームメイトと接触することは避けなければならないため、途中から手堅くポイントを取る作戦に切り替え、そのままフィニッシュを迎えました。
この結果、小出選手と野中選手のポイント差は29から19へと縮まることになりました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
1号車 | K.フレデリック | 5位 | 1分54秒493( 5/12) | 2(42) |
50号車 | 小出 峻 | 6位 | 1分54秒664( 7/12) | 1(82) |
- 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:19度、路面温度:33度
■第17戦決勝(11月10日(日)午前8時25分~12周)
フロントロースタートの小出選手は、このレースを制して確実にポイントを積み上げるべく、ニュータイヤを履いて臨みましたが、思いとは裏腹に、スタートで4位まで順位を落としてしまいました。さらに、7周目には古谷選手に先行を許す苦しい展開となり、フレデリック選手も7位を淡々と走ることになって、二人とも我慢のレースになってしまいました。
レース途中、トップを快走していた野中選手にフライングの裁定が下り、プラス10秒のペナルティが課されたことで、ポイント争いでは若干救われましたが、二人は後半もペースを上げることはできず、小出選手6位、フレデリック選手7位でチェッカーを受けました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
1号車 | K.フレデリック | 7位 | 1分54秒981( 7/12) | 0(42) |
50号車 | 小出 峻 | 6位 | 1分54秒383( 6/12) | 1(83) |
- 天候:曇り、コース:ドライ、気温:15度、路面温度:15度
■第18戦決勝(11月10日(日)午後0時25分~12周)
5番グリッドスタートのフレデリック選手は、スタートで順位を上げ、小出選手は逆に順位を落としてしまいますが、すぐに回復して、4位、6位で周回を重ねました。
しかし、レース中、フレデリック選手にフライングの裁定が下り、決勝結果にプラス5秒のペナルティが課されました。フレデリック選手は、このレースではペースが戻り、3位の中村選手を追い続けていましたので、痛恨のペナルティとなりました。
この結果、最終リザルトは、小出選手5位、フレデリック選手7位となり、チームとしては、週末最後のレースも精彩を欠くことになってしまいました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
1号車 | K.フレデリック | 7位 | 1分54秒008( 3/12) | 0(42) |
50号車 | 小出 峻 | 5位 | 1分54秒308( 6/12) | 2(85) |
- 天候:曇り、コース:ドライ、気温:18度、路面温度:21度
今大会を終えて、小出選手(85p)はドライバーズランキングで依然トップを守っていますが、2位の野中選手が2勝を挙げて76ポイントとなり、9ポイント差で最終大会を迎えることになりました。
チームポイントは、TOM’Sチームに22ポイント差をつけられてしまいましたので、逆転を目指して最終大会に臨みます。
■1号車ドライバー ケイレン・フレデリック選手コメント
非常に苦しい週末でした。予選が良くなかったので、レースは非常に難しいものになりました。でも、レース3ではペースが良くなり、まずまずのレースをすることができました。鈴鹿は私にとって新しいトラックでしたが、世界でも有数のサーキットを走ることができ、素晴らしい経験になりました。
最終大会のもてぎは寒くなりそうですね。今年のはじめに行われたテストのときと比較すると、クルマも大きく異なっていますので、木、金曜日の練習走行で、クルマがどう進化しているのかを知るのがとても楽しみです。
■50号車ドライバー 小出 峻選手コメント
スタートでの出遅れが続いてしまい、厳しい週末になってしまいました。クラッチのフィーリングが良くなかったり、2速に上げるときに回転が落ち込んだりして、加速でもたつくことになりました。
もてぎ大会に向けては、ポイント差を気にすることなく、しっかり勝ち切ることにフォーカスして、入念に準備を整えたいと思います。もう、ポジティブに自分を信じてやるしかないと、気持ちを切り替えていますので、クルマもメンタルも最高の状態で、最終大会に臨みたいと思います。
マスタークラス |
■第16、17戦予選
木、金曜日に行われた練習走行の3セッションすべてで、他の三人を圧倒するタイムをマークした清水選手が、勢いそのままに、第16戦では、最初のアタックで1分54秒011と、同じ周にアタックをかけた藤原選手を2秒も引き離す好タイムを叩き出しました。
タイトルを争うDRAGON、今田両選手もこのタイムを目標に攻めますが、終了間際にDRAGON選手が1分55秒台まで持っていくのがやっとという状況。抜き出た速さが光った清水選手が、今季3度目のポールポジションを獲得しました。
第17戦も、清水選手の速さは際立っており、早々に第16戦を上回る1分53秒663をマーク。藤原、今田、DRAGON選手も第16戦からタイムアップしましたが、清水選手のタイムには及ばず、清水選手がダブルポールポジションを決めました。
ドライバー | Rd13予選タイム(順位) | Rd14予選タイム(順位) | Point(累計) | |
4号車 | 今田信宏 | 1分56秒722(M4) | 1分55秒271(M3) | 0( 74) |
8号車 | 清水康弘 | 1分54秒011(M1) | 1分53秒663(M1) | 1+1( 48) |
13号車 | 藤原 誠 | 1分56秒202(M3) | 1分55秒070(M2) | 0( 57) |
30号車 | DRAGON | 1分55秒824(M2) | 1分55秒552(M4) | 0(103) |
■第16戦決勝(17周)
DRAGON選手が、スタートでやや慎重になった清水選手を抑えて、オープニングラップはトップで戻ってきました。しかし、スピードに勝る清水選手が2周目の1コーナー進入であっさり逆転。以降は、DRAGON選手との差を1周約1秒ずつ広げ、6周目には4秒のマージンを築きました。3位今田選手、4位藤原選手もそれぞれ2秒間隔で続き、縦に長い展開でレースは進みました。
レース後半も清水選手の速さは衰えず、他の3人が1分59秒台で走行するなか、唯一人1分58秒台のラップを刻み続け、最後はDRAGON選手に11秒という大差をつけ、独走で記念すべき初優勝のチェッカーを受けました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
4号車 | 今田信宏 | M3位(総合11位) | 1分57秒857(M3) | 5( 79) |
8号車 | 清水康弘 | M1位(総合 9位) | 1分56秒720(M1) | 10( 58) |
13号車 | 藤原 誠 | M4位(総合12位) | 1分58秒223(M4) | 3( 60) |
30号車 | DRAGON | M2位(総合10位) | 1分57秒227(M2) | 7(110) |
■第17戦決勝(12周)
2番グリッドから好スタートを決めた藤原選手がトップに立ち、ポールスタートの清水選手は出遅れ、今田選手に次ぐ3位にまでポジションを落としてしまいました。
4台は、藤原、今田、清水、DRAGON選手のオーダーで、僅差の争いを繰り広げますが、レースが折り返しに近づくと、このオーダーに変化が出始めました。
まず、5周目の1コーナで、今田選手が藤原選手のインを刺してトップに立ち、8周目にはデグナーで膨らんだ清水選手をDRAGON選手がかわして3位へ。さらに勢いづくDRAGON選手は、ラスト2周となった11周目には、藤原選手も捕らえ今田選手に急接近しました。
最後は、今田選手の背後にまで迫ったDRAGON選手でしたが、逆転には至らず、今田選手が0.1秒差で逃げ切って、今季5勝目のチェッカーを受けました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
4号車 | 今田信宏 | M1位(総合 8位) | 1分57秒259(M2) | 10( 89) |
8号車 | 清水康弘 | M4位(総合11位) | 1分57秒062(M1) | 3( 61) |
13号車 | 藤原 誠 | M3位(総合10位) | 1分57秒457(M4) | 5( 65) |
30号車 | DRAGON | M2位(総合 9位) | 1分57秒263(M3) | 7(117) |
■第18戦決勝(12周)
好ダッシュを決めた今田選手が、スタートでトップに立ち、清水、藤原、DRAGON選手と続き、4台は接近戦を繰り広げました。このなかで最も勢いがあったのは藤原選手。ウィングの角度を調整してスピード重視にしたことで速さを取り戻し、5周目には清水選手をかわして2位に浮上。6周目にはトップ今田選手の背後に迫りました。
迎えた10周目、勝負に出た藤原選手は、130Rのアウト側から今田選手の攻略に成功。見事トップでチェッカーを受けました。
しかし、藤原選手にはレース途中でフライングの裁定が下り、ゴールタイムにプラス5秒のペナルティが課されており、結果は無念の4位。3勝目は幻となってしまいました。
連勝した今田選手は、終盤、清水選手、DRAGON選手に差を詰められましたが、冷静に逃げ切って、今大会2勝目、今季DRAGON選手に並ぶ6勝目を飾りました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
4号車 | 今田信宏 | M1位(総合 9位) | 1分57秒626(M2) | 10( 99) |
8号車 | 清水康弘 | M2位(総合10位) | 1分57秒692(M3) | 7( 68) |
13号車 | 藤原 誠 | M4位(総合12位) | 1分57秒039(M1) | 3( 68) |
30号車 | DRAGON | M3位(総合11位) | 1分58秒011(M4) | 5(122) |
今大会の結果、ランキングではDORAGON選手が122ポイント、今田選手が99ポイントと、その差は23ポイントとなり、DRAGON選手優位のまま最終大会を迎えることになりました。
■4号車ドライバー 今田信宏選手コメント
週末を通してスピードがなく苦労しましたが、日曜の2レースはスタートが良く、藤原選手のペナルティにも救われました。会心の勝利とはいきませんでしたが、結果として2勝することができ、抜きつ、抜かれつのバトルも楽しむことができました。
ただ、鈴鹿で過去にないくらい、若手との差が広がり、乗れていないことを実感しました。その原因が、(F4からの切り替えがうまくいかない)F4病なのか、従来のライツの感覚を引きずってしまっているのかは、わかりませんが、何年やっても課題が出てくる、奥の深いカテゴリーです。タイトル争いでは、前回岡山大会のノーポイントが痛すぎましたね。
■8号車ドライバー 清水康弘選手コメント
今大会は週末を通してマシンバランスもよく、久しぶりの鈴鹿を楽しみながら走ることができました。目標としていたダブルPPと初優勝を達成したものの、各決勝のスタートには大きな課題が残りました。また、単独走行でのスピードがあっても、接近戦から抜け出すには、ライバルとの経験の差がまだあることを痛感しています。
今年も残るは最終大会のみですので、しっかり最後まで走り切りたいと思います。
■13号車ドライバー 藤原 誠選手コメント
今週末は、ストレートスピードが足りずに苦労しました。練習走行のときは分かりませんでしたが、いざ、レースになって他車と一緒に走ると、抜かれるときはいとも簡単に抜かれるのに、僕はスリップにも入れずという状態でした。
そこで、最後のレースは、リスクを覚悟のうえ、一か八かでウィングを寝かせて走ったら、コーナーも意外につらくなく、ラップタイムはかなり上がりました。もう少し早くそこに気づいていればと思います。
ペナルティもあって勝ちを逃してしまいましたが、実は、最終大会は仕事の都合で欠場ですので、最後は勝って終えたかったというのが本音です。心残りはありますが、SFライツにチャレンジでき、楽しいシーズンでした。
■30号車ドライバー DRAGON選手コメント
最後のレースは、スタートから、エンジンを保護するための制御システムが作動してしまい、まったく太刀打ちできませんでした。吸気温度と水温が規定の数値を外れたためですが、ターボが十分に効かない状態になるので、前車に何とかついていくのがやっとでした。
最後のレースにニュータイヤを残して、勝って終える予定でしたが、ここでミスが出るとは思いませんでした。思わぬ落とし穴でした。
今大会は、練習走行から清水選手のスピードが抜き出ていましたので、最終大会ではもう一度勝負を挑みたいと思います。