小出選手が2勝目を飾る、予選は両レースでPPを獲得
B-Max Racing Team(チーム総代表・SFLチーム代表 組田龍司)は、6月22〜23日、スポーツランドSUGOで行われた全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第7~9戦に参戦し、小出選手が第7戦でポール・トゥ・ウィン、荒川選手は3戦ともコンスタントに上位入賞を果たしました。フレデリック選手は第8戦でポールポジションを奪う速さを見せましたが、不運なトラブルに見舞われるなど入賞1回にとどまりました。
マスタークラスは、ドライコンディションの第7戦は今田選手が制しましたが、第8、9戦はDRAGON選手が、雨のなか速さを見せて連勝。この結果、二人の勝敗は今田選手の4勝2敗となりました。
■第7、8戦予選(6月22日(土)午前11時~11時30分)
蒸し暑い天候のなか行われた予選。第7戦では、「うまくハマった」と小出選手が1分13秒260をマークしてポールポジションを獲得。フレデリック、荒川選手も僅差で続き、グリッド上位を独占しました。
第8戦は、路面状況が変化するなかで全体的にタイムアップ。フレデリック選手が最後に1分13秒025をマークしてポールポジションを獲得しました。小出選手は路面の変化を読みきれずに4位、荒川選手は攻めた結果、ミスもあってタイヤの一番良い状態を使い切れず6位でした。
ドライバー | Rd7予選タイム(順位) | Rd8予選タイム(順位) | Point(累計) | |
1号車 | K.フレデリック | 1分13秒332( 2) | 1分13秒025( 1) | 1(14) |
50号車 | 小出 峻 | 1分13秒260( 1) | 1分13秒236( 4) | 1(14) |
51号車 | 荒川 麟 | 1分13秒336( 3) | 1分13秒328( 6) | 0( 8) |
- 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:33度、路面温度:45度
■第7戦決勝(6月22日(土)午後3時35分~26周)
スタートを決めた小出選手は、1周目から2位以下を引き離しにかかりました。他の選手がタイヤの摩耗からタイムが大きく落ち込むなかで、小出選手は毎周コンスタントに約0.5秒のマージンを築き、10周目には2位フレデリック選手との差を4.4秒にまで広げました。
フレデリック選手は、この頃から左リヤタイヤにトラブルが出てペースダウン。大きく順位を落とし、21周目にピットでレースを終えました。タイヤは完全に剥離した状態でした。
フレデリック選手の情報を無線で聞いた小出選手は、ペースをコントロールしながら残り周回を走りきって今季2勝目のチェッカーを受けました。荒川選手も堅実に走って3位フィニッシュ。2人揃って表彰台に上がりました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
1号車 | K.フレデリック | DNF | 1分14秒782( 2/12) | 0(14) |
50号車 | 小出 峻 | 1位 | 1分14秒466( 1/12) | 10(24) |
51号車 | 荒川 麟 | 3位 | 1分15秒002( 8/12) | 5(13) |
- 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:35度、路面温度:44度
■第8戦決勝(6月23日(日)午前9時~18周)
レースは完全なウェットコンディションとなり、セーフティカー(SC)先導でのスタートとなりました。3周終了時にSCラン解除になりますが、マスタークラスの藤原選手がスピン、ストップしてしまい、さらに2周のSCランが続いた後にリスタートとなりました。
PPスタートのフレデリック選手は、3コーナーでやや膨らんで2位に落ち、その後は、中村、フレデリック、荒尾、小出選手のオーダーでレースは進みました。終盤になると、独走状態となった中村選手の後方で繰り広げられていた2位争いがヒートアップ。
16周目に馬の背コーナーでミスをした荒尾選手を抜き3位に上がった小出選手は、最終ラップにも馬の背でフレデリック選手にアウトから仕掛けました。しかし、抑えようとしたフレデリック選手が小出選手に接触。小出選手は順位を落としてしまいました。3位でコースに復帰したフレデリック選手は、この接触でプラス5秒のペナルティとなり、正式結果は5位になりました。
なお、レースは規定の30分を経過したため、予定されていた19周より1周少ない18周でチェッカーとなりました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
1号車 | K.フレデリック | 5位 | 1分33秒082( 8/12) | 2(16) |
50号車 | 小出 峻 | 8位 | 1分32秒767( 4/12) | 0(24) |
51号車 | 荒川 麟 | 4位 | 1分32秒456( 2/12) | 3(16) |
- 天候:雨、コース:ウェット、気温:18度、路面温度:22度
■第9戦決勝(6月23日(日)午後0時35分~16周)
雨は降り続いていましたが、若干コンディションが回復したため、スタンディングスタートとなりました。「フォーミュラで雨のレースはほとんど経験がない」というPPスタートの小出選手は、タイヤのグリップ感を十分に掴みきれず、スタートダッシュを見せた4番グリッドの野中選手の先行を許すことになってしまいました。
荒川選手は1つポジションを落として4位、最後尾スタートのフレデリック選手は1周目にマスタークラスの4台を抜いて8位となってレースは進みますが、徐々に霧が出始め、7周終了時に視界不良のためSCが導入されました。
SCランが続くなかで、各車はタイヤを冷やさないようにウィービングをしながら再開を待ちましたが、視界は回復せずに規定の30分を超え、SC先導のまま16周でチェッカーとなりました。
今大会を終えて、ポイントリーダー野中選手と2位小出選手の差は、12ポイントから7ポイントに縮まりました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
1号車 | K.フレデリック | 8位 | 1分33秒063( 8/12) | 0(16) |
50号車 | 小出 峻 | 2位 | 1分32秒651( 4/12) | 7(31) |
51号車 | 荒川 麟 | 4位 | 1分32秒853( 6/12) | 3(19) |
- 天候:雨、コース:ウェット、気温:20度、路面温度:23度
■1号車ドライバー ケイレン・フレデリック選手コメント
複雑な気持ちのレースウィークでした。オートポリスからさまざまな修正を加えた結果、本来のペースを発揮することができ、希望通りの位置で予選を通過することができました。PPと2位を取れたことには満足しています。
しかし、レース1では私たちのコントロールが及ばない事態が起こって、レースを終わらせることになってしまいました。その結果レース3も最後尾スタートになってしまいました。レース2はPPスタートでしたが、ウェットでのSUGOは未経験でしたので、非常に難しいレースとなり、期待していた結果は得られませんでした。
次の富士に臨むにあたって、チームの実力には自信を持っていますので、良い結果を残せるよう全力を尽くしたいと思います。我々にはもう少し運が必要ですね。
■50号車ドライバー 小出 峻選手コメント
今週末は調子は悪くなかったですね。一発に関してもロングに関しても良かったと思います。ただ、1レース目は満足のいく内容でしたが、2、3レース目に関しては、細部の詰めがまだ足りなかったように感じています。ベースの部分は他に比べて優位に立っていると思いますので、細部の足りない部分を埋めていけば、思い描く形になるはずです。
シリーズポイントはまだ少しビハインドがありますが、ポイント差は縮まっていますし、何よりも手応えは十分感じていますので、やるべきことをやって、きちんと実力を出せば自ずと結果はついてくると思っています。
■51号車ドライバー 荒川 麟選手コメント
オートポリスに続いて2大会目ですので、クルマにも慣れていますし、専有走行からスムーズに進めることができました。予選では少しミスもありましたが、ポールを狙える速さはありました。レースに関しては、オートポリスで失敗続きだったスタートに重点的に取り組んだ結果、徐々に改善され、3レース目では決めることができました。
全体的に成長していることは実感できましたが、望んだ結果が出せていないので、悔しさの残る週末でした。
マスタークラス |
今大会は、今田選手、DRAGON選手、清水選手に加え、SFライツデビューとなる2023年FIA-F4インディペンデントカップチャンピオンの藤原誠選手がエントリーし、マスタークラスのフルメンバーが揃いました。
■第7、8戦予選
木曜日の専有走行で好調だったDRAGON選手は、金曜日の走行でクラッシュしてしまい、十分な走り込みができないまま予選を迎えました。
ドライコンディションとなった予選では、今田選手がディフェンディングチャンピオンの貫禄を見せ、第7戦では0.2秒、第8戦では0.5秒の差をDRAGON選手につけ、ダブルクラスPPを獲得しました。
清水選手と藤原選手の二人も僅差の争いを見せ、第7戦では藤原選手が0.1秒上回り、第8戦では二人とも大きくタイムアップするなかで、清水選手が0.1秒上回るという五分の速さを見せました。
ドライバー | Rd7予選タイム(順位) | Rd8予選タイム(順位) | Point(累計) | |
4号車 | 今田信宏 | 1分15秒336(M1) | 1分15秒023(M1) | 1+1(34) |
8号車 | 清水康弘 | 1分17秒201(M4) | 1分15秒952(M3) | 0(10) |
13号車 | 藤原 誠 | 1分17秒067(M3) | 1分16秒060(M4) | 0( 0) |
30号車 | DRAGON | 1分15秒585(M2) | 1分15秒554(M2) | 0(21) |
■第7戦決勝(26周)
スタートで前に出るチャンスを狙っていたDRAGON選手が今田選手に並びかけますが、抜くまでには至らず、トップを守った今田選手が2周目以降も少しずつDRAGON選手との差を開いていきました。その差は、10周目には2.7秒まで広がり、その後もタイヤの摩耗によるタイムの落ち込みを最小限に抑えた今田選手が、今季無傷の4連勝を飾りました。
このレースがデビューとなった藤原選手は、スタートから清水選手を従えて周回を重ねると、折り返しの13周目以降は3秒の差を保ったまま3位でチェッカーを受けました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
4号車 | 今田信宏 | M1位(総合 8位) | 1分16秒549(M2) | 10(44) |
8号車 | 清水康弘 | M4位(総合11位) | 1分17秒977(M3) | 3(13) |
13号車 | 藤原 誠 | M3位(総合10位) | 1分18秒131(M4) | 5( 5) |
30号車 | DRAGON | M2位(総合 9位) | 1分16秒505(M1) | 7(28) |
■第8戦決勝(18周)
悪天候のためSCスタートとなりましたが、雨のペースに自信を持つDRAGON選手は、SCランが解除されると、今田選手の背後からチャンスを窺い、8周目の1コーナーで前に出ると、1分35秒台を連発して徐々に今田選手を引き離しました。今田選手も終盤にはペースを上げますが、時すでに遅し。DRAGON選手が今田選手の連勝をストップするとともに、今季初優勝を飾りました。
清水選手と藤原選手の争いは、藤原選手がSCラン中にスピンをしてしまい、早々に決着。清水選手は単独走行になりましたが、1分38秒から37秒へと徐々にペースを上げ、安定した走りを見せて3位でフィニッシュしました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
4号車 | 今田信宏 | M2位(総合10位) | 1分35秒429(M2) | 7(51) |
8号車 | 清水康弘 | M3位(総合11位) | 1分37秒091(M3) | 5(18) |
13号車 | 藤原 誠 | M4位(総合12位) | 1分39秒657(M4) | 3( 8) |
30号車 | DRAGON | M1位(総合 9位) | 1分34秒919(M1) | 10(38) |
■第9戦決勝(16周)
雨が降り続き視界が悪い状況でしたが、DRAGON選手は1周目のバックストレッチで今田選手の背後につけると、アウトから一気に前に出てトップに立ちました。今田選手も食い下がりますが、DRAGON選手のペースが良く、差は徐々に広がっていきました。後方では、藤原選手が清水選手を従える形でレースは進みました。
しかし、徐々に霧が出てきたことで視界不良となり、7周終了時にSCが入りました。その後も状況は変わらず、SC先導のまま規定の30分を超え、16周でレースは終了となりました。
DRAGON選手が雨のレースで連勝しましたが、今田選手はPPポイントを獲得しているため、二人の差は1ポイント縮まったのみで、依然10ポイントの開きがあります。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
4号車 | 今田信宏 | M2位(総合10位) | 1分35秒893(M2) | 7(58) |
8号車 | 清水康弘 | M4位(総合12位) | 1分38秒700(M3) | 3(21) |
13号車 | 藤原 誠 | M3位(総合11位) | 1分39秒448(M4) | 5(13) |
30号車 | DRAGON | M1位(総合 9位) | 1分35秒270(M1) | 10(48) |
■4号車ドライバー 今田信宏選手コメント
1日目のドライの予選、第7戦決勝は良かったのですが、2日目はウェットにドライビングを合わせきれなかったという感じです。とにかく視界が真っ白でしたから、DRAGON選手を抑えるためにはかなりリスクを冒す必要がありました。少しマージンを取りすぎたかもしれませんが、今回はクルマを壊さないよう手堅く走りました。次の富士はコースが広く、ドライでもウェットでも攻めることができますので、逆襲したいと思います。
■8号車ドライバー 清水康弘選手コメント
2大会目の今回はコースコンディションが週末を通して移り変わるなか、SFLの経験値をしっかり積み重ねられたのでよかったです。今大会から影山正美さんをコーチとしてお招きし、学びのペースも格段にアップしました。自分に足りていない部分を丁寧に、確実に克服していきたいと思います。次の富士戦は気温も更に上がりますから、体調含めしっかり調整して迎えたいです。
■13号車ドライバー 藤原 誠選手コメント
ダウンフォースが何なのかということが、まだ掴みきれないというのが現状です。少しずつ詰めはしましたが、全体的に詰めきれていないという感じです。特に雨を想定していなかったので、単独走行になるとラインも分からずに戸惑いました。予習不足を反省しています。
それでも難しいコンディションのレースで、クラッシュもなく無事デビュー大会を終えたことにはほっとしています。次の富士はランオフエリアも広いので、今回は試すことのできなかった限界を探る走りにトライしたいと思います。
■30号車ドライバー DRAGON選手コメント
金曜日の専有走行でクルマを壊してしまったので、ぶっつけの予選でクルマのチェックをしながら攻めることになりました。しかし、それでは今田選手に勝てるはずもなく、予選は完敗でした。ドライの第7戦も、最終コーナーの走りやタイヤの持たせ方を工夫して、ワンチャンスあるかと思っていましたが、ペースは今田選手の方が上回っていました。
ただ、2日目は雨予報でしたので、雨になれば自信もありましたし、勝てる可能性はかなり高まると思っていました。結果2連勝できましたが、両レースとも今田選手の後ろからスタートしてコース上で抜いて勝てたことは大きかったですね。特に2レース目は1周目のチャンスを逃していたら、SCが入って2位で終わっていたと思います。
次の富士は今田選手の得意コースですが、ここまで一度も勝てていない予選で何とか一矢報いたいと思います。