強力な布陣で臨む2023シーズンがスタート
B-Max Racing Team(SFLチーム代表 組田龍司)は、3月7~8日、鈴鹿サーキットで行われた全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権の公式合同テストに参加し、開幕に向けてのデータ収集を行いました。
今シーズンは、引き続きHFDP(ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)の育成ドライバーとして参戦する木村偉織選手に、デビッド・ヴィダーレス選手、イゴール・オオムラ・フラガ選手が加わり、実力ある3人が揃う強力な布陣となりました。
今回のテストは、チームで協力してコントロールタイヤの変更に対応するセッティングを探ることを目的に臨みました。マスタークラスの今田車、DRAGON車は、コーチを務める佐々木大樹選手、テストドライバーの菅波冬悟選手が主にドライブしました。
■テスト1日目(3月7日(火) Session1:12:45~14:45)
ハンコックタイヤの特性を掴むため、各車アジャストを繰り返しながら周回を重ねました。SF走行後で路面状況が良かったこともあり、ヴィダーレス選手が早々に1分53秒231、後半には木村選手が1分52秒315と昨年のテスト時と遜色ないタイムを記録しました。
その後は、それぞれが異なるセッティングを試しましたが、タイヤのフィーリングも悪くなく、タイム的にもまずまずの結果が得られることが分かりました
ドライバー | Ses.1 ベストタイム(順位) | |
---|---|---|
50号車 | 木村偉織 | 1分52秒315( 3/11) |
51号車 | D.ヴィダーレス | 1分53秒231( 6/11) |
52号車 | I.O.フラガ | 1分54秒214( 8/11) |
4号車 | 佐々木大樹 | 1分54秒530(10/11) |
30号車 | 菅波冬悟 | 1分53秒231( 7/11) |
- Ses.1 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:18度、路面温度:29度
■テスト2日目(3月8日(水)Session2:9:00~11:00/Session3:15:00~17:00)
引き続き天候に恵まれた2日目午前のセッションは、それぞれが準備したプログラムを淡々とこなす時間となりました。1時間を経過したところで、木村選手が1分52秒068のトップタイムをマーク。ヴィダーレス選手は序盤にマークした1分52秒830で5位、フラガ選手は1分53秒372で8位と、各自がそれぞれの位置でいくつかのセッティングを試しながら周回を重ねました。その後、若干の順位変動はありましたが、最後のニュータイヤでのアタック合戦もなく、静かなセッションは終了しました。4号車はエンジントラブルで走行することができませんでした。
4時間のインターバルを経て始まった最後のセッションは、直前まで一般車の走行があったため、路面コンディションはあまり良いとは言えませんでした。それでも、午前とは対照的にタイムを競い合う場面が多く見られました。ここで速さを見せたのがヴィダーレス選手。1時間経過時にはトップタイムとなる1分52秒180をマークすると、ライバル勢のアタックを退け、最後にさらにタイムを短縮、1分51秒台に入れて存在をアピールしました。
30号車はDRAGON選手がドライブしてフィーリングを確認。トラブルの解消した4号車は佐々木選手と菅波選手がシェアしてセッティングのチェックを行いました。
ドライバー | Ses.2 ベストタイム(順位) | Ses.3 ベストタイム(順位) | |
---|---|---|---|
50号車 | 木村偉織 | 1分52秒068( 2/10) | 1分52秒462( 5/12) |
51号車 | D.ヴィダーレス | 1分52秒830( 7/10) | 1分51秒939( 1/12) |
52号車 | I.O.フラガ | 1分53秒010( 8/10) | 1分52秒639( 7/12) |
4号車 | 佐々木大樹 | ——————— | 1分53秒626(11/12) |
30/4号車 | 菅波冬悟 | 1分53秒330(10/10) | 1分53秒149( 9/12) |
30号車 | DRAGON | ——————— | 1分57秒552(12/12) |
- Ses.2 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:13度、路面温度:16度
- Ses.3 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:18度、路面温度:28度
■50,51号車チーム監督 高木真一コメント
今シーズンはコントロールタイヤがハンコックに変わりましたが、タイヤが変わるとすべてが変わると言っても過言ではありません。今回のテストはタイムを出すことよりも、チームとしてタイヤの特性を掴み、それに合わせたセッティングを見出すことに集中しました。
タイヤに関する事前の情報も、例えば、200kmはグリップレベルが持つと聞いていましたが、鈴鹿では意外に落ち込みが早かったことなど、実際に走ってみないと分からない部分がありましたので、その意味でも有意義なテストでした。
今回はデビッドに勢いがありました。それぞれが切磋琢磨し、相乗効果でレベルアップできるので、チームとしてはとても良かったと思います。
■52号車チーム監督 松浦孝亮コメント
今シーズンからチームに加わらせていただき、今回初めてエンジニアやスタッフ、イゴールと仕事をしました。ミーティングを重ねて、2日目にはセットアップも進み、最後のセッションは良い形で終わることができたように思います。
チームメイトの偉織選手、デビッド選手も非常に速さを持っていて頼もしい存在ですし、彼らから学ぶことも多いと思います。チームとしては申し分ない環境ですので、チームの力を借りてコンスタントに上位を走れるようにしたいと思います。イゴールは非常に賢いドライバーですが、石橋を叩いて慎重に進める傾向があるように感じています。開幕までに彼のチャレンジングな部分をもっと引き出したいと思います。
■50号車ドライバー 木村偉織選手コメント
タイヤにトラブルが出て、想定していた本数を使うことはできませんでしたが、いろいろなデータは取ることができましたし、テスト全体としては良かったように思います。ただ、トップと比べると一発のタイムやロングランでも後れを取っていますので、もっとマージンを持ってトップに匹敵するタイムを出せるようにしなければいけないと思っています。
開幕戦のオートポリスは抜かれにくいとはいえ、タイヤにも厳しいコースですので、このままでは苦戦を強いられることは避けられません。5月の開幕までの間に何をすべきかをしっかりと考えたいと思います。
■51号車ドライバー デビッド・ヴィダーレス選手コメント
1日目は、フロアに少しダメージを負ってしまい、他にも修正すべき部分があって、ほとんど走行することができませんでした。2日目も午前のセッションでは問題が発生して原因を掴むのに時間がかかってしまいました。でもチームは素晴らしい仕事をしてくれ、午後にはクルマもすごく良くなりました。
最後のセッションでファステストラップをマークすることができましたが、まだこれはテストです。重要なのは、タイヤのポテンシャルを最大限発揮するために、タイヤへの理解を深めること、そしてチームとともにセットアップの方向性を定めていくことだと感じています。それを進めるための良いスタートラインに立っていると思います。開幕戦がとても楽しみです。
■52号車ドライバー イゴール・オオムラ・フラガ選手コメント
参戦が決まったのが直前にもかかわらず、テストに向けて準備をしてくれたチームに感謝します。2日間、クルマに問題が発生することもなく、走り込みができたことは非常に良かったと思います。
1日目と2日目午前の走行では、タイヤの癖やクルマの挙動を十分に掴むことができませんでした。でも、午後の走行ではその方向性が見えてきましたので、ポジティブになれました。次のテストではもっと上位に行きたいと思います。
■4号車ドライバー 佐々木大樹選手コメント
今シーズンも今田選手のコーチングで帯同する予定です。今回はハンコックタイヤによる変化を、チームや今田選手に具体的に伝えるためにドライブしました。タイヤのキャラクターはクルマにも大きく影響しますが、セッティングの方向性やタイヤの温め方などが確認できましたので、次の走行に生かせると思います。
今田選手の目標は、少しでも若手に迫り1人でも追い抜くこと。具体的には、ラップタイム差が鈴鹿では1.5秒、他のサーキットでは1秒。そして総合のポイント獲得です。
■30,4号車ドライバー 菅波冬悟選手コメント
30号車は、今シーズン東名エンジンを使用しますので、まずはエンジンのセッティングの確認と、ハンコックタイヤに変更されたことによるデータ収集が今回の仕事です。チームとしては5台を走らせていますので、情報量の面では有利と思いますし、そこに貢献できればと思っています。
最後はデビッドがトップタイムをマークしましたが、トムス勢も安定して上位に来ています。ただ、どのドライバーもタイヤの特性をまだ十分に掴みきれていないと思いますので、開幕してみないと勢力図は分からないという感じです。チャンスがあれば、ドライバーとしてそこに加わりたいと思っています。
■30号車ドライバー DRAGON選手コメント
今回はチームとして情報を収集するため、30号車はテストドライバーとして菅波選手に乗ってもらいました。エンジニアも変わっていますので、その習熟も兼ねて、タイヤの理解とクルマの挙動に関するデータ取りを中心に走行しました。最終セッションは自分も体験するために走りましたが、エンジンにトラブルが出て、新しいタイヤによる挙動の違いを十分に理解するまでには至りませんでした。