2022 SFL第16,17,18戦岡山国際サーキット(9/24-25)レポート

Super Formula Lights

木村選手が3戦連続2位、シリーズ3位で今季を締めくくる

B-Max Racing Team(SFLチーム代表 組田龍司)は、9月24~25日、岡山国際サーキットで行われた全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第16~18戦に参戦し、木村選手が3戦すべてで2位を得て、ドライバーズランキング3位で2022シーズンを締めくくりました。
菅波選手は第17戦で表彰台まであと一歩の4位、急きょ参戦が決まったロベルト・メリ選手は、思うような結果は得られませんでしたが、その参戦は大きな話題となりました。
マスタークラスは、すでにチャンピオンを決めている今田選手とDRAGON選手が、今回も手抜きなしのバトルを繰り広げ、結果は1勝ずつと今季を象徴する結果でした。
これで今シーズンのSFライツ選手権は全日程を終了。目標としていたチャンピオン獲得はなりませんでしたが、Hondaの育成プログラムを担うなど、チームとして新たな一歩を踏み出したシーズンでした。

■第16,17戦予選(9月24日(土)午前9時05分~30分間)
1回目のアタックでは菅波選手が1分21秒688をマークしてトップ。木村選手も僅差で3位と上々の滑り出しを見せました。一旦全車がピットに戻り残り10分から始まった2度目のアタックは、木村選手が1分21秒138でトップに躍り出ますが、その直後に太田選手が1000分の1秒差で逆転。木村選手も再逆転を試みますが届かず。ただし、セカンドタイムで決まる第17戦は木村選手が制しました。
菅波選手は、タイムアップはしたもののベストタイム5位、セカンドタイム4位と伸び悩みました。メリ選手は懸命にアタックするも、ドライでの走行時間が十分ではないなかで上位に食い込むことは難しく、8位と9位でした。

ドライバー 予選ベストタイム(順位) 予選セカンドベスト(順位) Point(累計)
1号車 木村偉織 1分21秒138(2/11) 1分21秒229(1/11) 1(63)
50号車 菅波冬悟 1分21秒401(5/11) 1分21秒517(4/11) 0(20)
98号車 R.メリ 1分22秒079(8/11) 1分22秒321(9/11) 0( 0)
  • 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:22度、路面温度:29度

■第16戦決勝(9月24日(土)午後1時20分~25周)
好天に恵まれた決勝日。フロントロー2番手スタートの木村選手は1コーナーまでにポールシッターの太田選手に並びかけますが、抜くまでには至りませんでした。予選4位の古谷選手がエンジン交換で5グリッド降格になったため、菅波選手、メリ選手は、それぞれグリッド位置を1つ上げてのスタートでしたが、2人とも順位を落として5位、9位でコントロールラインに戻ってきました。
抜きどころの少ないコースで、レースはこのまま膠着状態に入り、木村選手は8周目までにトップに1.7秒差をつけられてしまいます。しかし、諦めることなく追い上げ、18周目には0.8秒まで詰めますが、最後までパッシングのチャンスは訪れず2位でフィニッシュしました。菅波選手は単独走行となり5位、メリ選手は先行された元嶋選手を最後まで追い続け9位でチェッカーを受けました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
1号車 木村偉織 2位 1分23秒661(3/11) 7(70)
50号車 菅波冬悟 5位 1分23秒965(5/11) 2(22)
50号車 R.メリ 9位 1分24秒295(8/11) 0( 0)
  • 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:30度、路面温度:46度

■第17戦決勝(9月25日(日)午前9時20分~18周)
ポールポジションスタートの木村選手は、スタートで出遅れ3位にまで後退しますが、即座に2位まで順位を回復すると、トップの小高選手を追います。しかし、ペースはほぼ同じで抜くチャンスは訪れないまま後半へ。終盤ファステストを叩き出して追走しますが届かず、悔しい2位となりました。
菅波選手は、4位のポジションをキープしてレースを進め、徐々に前後の間隔が開いて単独走行となったままフィニッシュ。メリ選手は1周目に7位まで順位を上げますが、アクシデントで入ったセーフティカーラン中に追い抜きをしたとして、ドライブスルーペナルティ。13周目にピットに入ってそのままレースを終えました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
1号車 木村偉織 2位 1分22秒281(1/11) 7+1(78)
50号車 菅波冬悟 4位 1分22秒868(5/11) 3(25)
50号車 R.メリ DNF 1分23秒153(7/11) 0( 0)
  • 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:23度、路面温度:29度

■第18戦決勝(9月25日(日)午後2時05分~18周)
2番グリッドからスタートの木村選手は、好スタートから1周目にポールスタートの太田選手に何度か並びかけますが、前に出ることは叶わず、第16戦と同様の展開になります。パッシングの非常に難しいコースでは無理もできないため、一旦ファステスト狙いに切り替えた後に、再びトップを追走しますが、結局そのままフィニッシュを迎えました。
5番手スタートの菅波選手はスムーズに加速しないクルマと悪戦苦闘しながら8位、メリ選手は9位でレースを終えました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計/有効)
1号車 木村偉織 2位 1分23秒492(1/11) 7+1(86/85)
50号車 菅波冬悟 8位 1分24秒348(8/11) 0(25/25)
50号車 R.メリ 9位 1分24秒337(7/11) 0( 0)
  • 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:27度、路面温度:43度
  • ※有効ポイントは開催レース数の80%(14戦)の合計

■チーム監督 高木真一コメント
練習走行はウェットだったり、ドライだったりの難しいコンディションでしたが、そのなかで木村選手、菅波選手ともに速さを見せてくれました。課題は、その速さを予選に繋げて、爆発的なタイムを出せるかというところです。予選の1回目のアタックは菅波選手が好調で本人も自信を持っていたようですが、2回目は上手くいかず、最後は木村選手が僅か1000分の1秒差というトップと同等のタイムを出しました。
ただ、そのほんの僅かの差がこの週末の3連続2位という結果に繋がったとも言えますので、ミスのない完璧なアタックができるよう一皮むけてほしいと思います。でも、決勝ではずっとファステストに近いタイムを刻み続けられるようになりましたし、この1年はすごく身になったシーズンだったと思います。
メリ選手は、ウェットでのコントロールは良かったのですが、短い走行時間のなかで、ドライコンディションの繊細なタイムを削り取る作業は難しかったのだろうと思います。

■チーフエンジニア 宮田雅史コメント
少しずつ改善はされてきていますが、今回も練習走行の速さを予選に生かせないというパターンでした。特に菅波選手がそうでしたが、技術的な問題はないはずですし、原因はこれだというものがないだけに解決するのは難しいですね。
でも、シーズン当初と比較すると二人とも大きく成長したと思います。残念なのはそれが結果として表れていないことですが、体力面も大きく改善されましたし、クルマを乗りこなすということに関しても格段に良くなりました。あとは一発の速さですね。

■1号車ドライバー 木村偉織選手コメント
予選で1000分の1秒負けたということがすべてだったように思います。あそこでポールが取れていれば、勝つチャンスは間違いなく広がっていました。自分としては良いアタックだったと感じていますし、そこに至るまでの取り組みにおいてもやり残したことはなかったように思います。
ただ、結果を見て思うのは、120%まで引き出さないとダメだということです。もてぎでは100%でポールが取れて、今回も100%の走りはできたと思いますが、それでは足りないということだと思います。そういう世界だと改めて感じました。
今シーズンを振り返ると、デビューイヤーとして反省点も多い1年でしたが、ポールポジションも優勝もファステストも複数回取ることができ、ポジティブな面も多く、成長できた1年でした。

■50号車ドライバー 菅波冬悟選手コメント
練習走行は不安定なコンディションでしたが、金曜日の午後にドライセッティングの方向性が決まり、予選で戦えるレベルまで仕上げることができました。自信を持って臨んだ予選は、1回目のアタックでは余力を残しながらもトップタイムで、そこまでは良い感じでした。でも、2回目のアタックでは位置取りをするなかで上手くタイヤを温められずに、ポール争いに絡むことはできませんでした。感触が良かっただけに悔いが残ります。
決勝はタイヤが新品でグリップがあるうちは良いのですが、ピークを過ぎた後や、混戦でダウンフォースが満足に得られないときのタイムの落ち込みが顕著でした。最終大会でしたのでもちろん良い結果を残したいと思っていましたが、それができずに残念です。

■98号車ドライバー ロベルト・メリ選手コメント
この週末は思い描いていた結果は得られませんでした。チームやメカニックは一生懸命やってくれましたが、ずっとグリップ不足に悩まされ、さまざまなトライをしても改善されることはありませんでした。原因はよく分かりません。走行時間が少なかったことも多少は影響しているかもしれませんが、15歳でフォーミュラカーに乗ってから多くの経験を積んできているので、それは問題ではありません。これほど苦しんだレースウィークは自身のレースキャリアで初めてでした。

マスタークラス

■第16,17戦予選
1回目のアタックでは、DRAGON選手(1分23秒468)にやや水を開けられた今田選手(1分24秒159)ですが、2回目のアタックでは、タイムアップを果たせずに苦しむDRAGON選手に対し、今田選手は徐々にタイムを詰めていき、最後のラップで1分23秒430をマークし見事逆転に成功。クラスポールポジションを獲得しました。セカンドタイムではDRAGON選手が上回りました。

ドライバー 予選ベストタイム(順位) 予選セカンドベスト(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 1分23秒430(M1) 1分23秒764(M2) 1(141)
30号車 DRAGON 1分23秒468(M2) 1分23秒581(M1) 1(117)

■第16戦決勝
接近戦を見せる二人は、1周目のダブルヘアピンでDRAGON選手が前に出ますが、今田選手も引かずに並走。トップの座を奪い返した今田選手は、DRAGON選手を引き離そうと必死でプッシュしますが、DRAGON選手は0.5秒差で追走を続けプレッシャーをかけ続けました。終盤、両者の間隔がやや開いたところでチェッカーとなり、この日、誕生日だった今田選手がバースデーウィンとなる10勝目を飾りました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 M1位(総合10位) 1分25秒396(M2) 10(151)
30号車 DRAGON M2位(総合11位) 1分25秒298(M1) 7+1(125)

■第17戦決勝
スタートから闘争心むき出しの今田選手とDRAGON選手ですが、その二人の熱い思いが接触という悪い形になってしまいました。非常に抜きづらいコースということもあり、1周目のヘアピンに並走して進入した二人は、どちらも引くことなく接触。今田選手はコースオフしてグラベルにはまってしまい、DRAGON選手は足回りを痛めてピットでリタイアとなってしまいました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 DNF ———- 0(151)
30号車 DRAGON DNF ———- 0(125)

■第18戦決勝
総合の争い以上に熱い二人のバトルは、このレースでも変わることなく、スタートで先行した今田選手が「少し気を抜いてしまった」と2周目のヘアピンでインを開けたところに、DRAGON選手が飛び込み、ここで勝負あり。クラストップの座を得たDRAGON選手はチェッカーまで今田選手に付け入る隙を与えることなく走り切り、今季6勝目を飾りました。
これで、このレースウィークの二人の勝敗は、1勝1敗1分(リタイア)、ファステストも1回ずつとまったくの五分で、今シーズンを象徴する結果となりました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計/有効)
4号車 今田信宏 M2位(総合11位) 1分24秒949(M1) 7+1(159/143)
30号車 DRAGON M1位(総合10位) 1分25秒154(M2) 10(135/126)
  • 有効ポイントは開催レース数の80%(14戦)の合計

■4号車ドライバー 今田信宏選手コメント
最後のレースでインを空けたことが悔やまれますが、この週末のDRAGON選手との勝負は、1勝1敗1分でした。今シーズンを振り返ると、楽しく走って成長を実感することができ、充実した1年だったと思います。それもDRAGON選手との競り合いがあったからで、バトルさせてもらえて有り難かったです。来年はぜひマスタークラスに新たな仲間が増えることを願っています。

■30号車ドライバー DRAGON選手コメント
今回も今田選手といろいろありましたが、セッティングに関しては、関口選手がアドバイザーとして帯同してくれたので非常にスムーズに進みました。
このコースは抜きにくく予選で8割方が決まりますので、予選をもう少し上手く走ってダブルポールを取りたかったという思いはあります。でも、今田選手とポールを分け合い、1勝ずつ、ファステストも1つずつという、引き分けでした。2レース目では当たってしまったりしてお互いに反省点もありますが、それらを踏まえて来年に繋がれば良いと思います。




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